2004 佐渡国際トライアスロン大会参戦記

「参戦」と言う言葉を、今回はあえて使いたい。
9月4日

  • 午前1時30分自宅出発。車で高速を使って新潟港着5時20分。ジェットフォイルは7時を予約していたが、窓口のお兄さんが6時10分に替えてくれた。(結果的には、これが大正解)1時間後、佐渡につく。海から見る佐渡は見事に2こぶに分かれていて、島を1周するAタイプのBikeコースの大変さが伺える。(私の出るBタイプは半周)ちなみに私は、佐渡は生まれて初めて行きました。非常に良い所でした。
  • 船を下りると、バス停に「佐和田…」と書いてあったので、「自転車良いですか?」と訊いて輪行袋とクソ重いモンベルのダッフルバッグを背負って乗り込む。何と、宿には8時ごろ着。頼んで荷物を預ける。自転車は早速組んで、5km先の「アミューズメント佐渡」へ受付に行く。ショップ系やパールイズミ、ミズノなんかのメーカー系の出店も出ていてマアマアの賑わい。競技説明会を聞きスイムコースを眺めに行き、Bikeラックを確認して、宿に戻る。部屋の準備が出来ていたので、とりあえず荷物を解いてRun用のトランジションバッグ*1をバイクラック*2に置きに戻った。またプラプラして宿に戻ると相部屋(10畳に5人)の人たち*3がじょじょに集まってきた。関東から3人ともう1人は何と徳島から。*4本番は天気が悪そうな事を地元のケーブル?TV*5で言っている。不安に負け、出店で雨にも強いと言う「クロスカントリールブ」を買い、チェーンに塗った。風呂に入り、食いきれない豪華な夕食を済ませ午後8時過ぎ就寝。

9月5日

  • 午前3時起床。シャワーを浴び目を覚ます。朝ご飯は3時から用意できていて有難い。午前4時、午前6時SwimスタートのAタイプを見送り、最後の準備。天気は曇りでほんのチョッと雨が混じっている。実は、晴れ用の準備しかしてなかった。急遽、ノースリーブのトライアスロンウェアの上から半そでのバイクジャージを羽織り、DHバー*6の上にウェットスーツを乗せ、背中にBike用のトランジションバッグを背負って、出発する。
  1. 午前5時50分
    • 最終受付。両腕に女子高生ボランティアから自分のレースナンバーを書いてもらい、いやがおうでも気分は盛り上がる。
  2. 午前6時
    • AタイプSwimスタート。黄色いキャップの集団が沖合い1.3km*7のブイを目指す。さあ、次は自分の番。バイクラックに戻り、ウエットスーツを着る。背中のチャックは自分じゃ上げられないので、ボランティア*8のご婦人に上げてもらう。アップを頑張ると疲れそうなので、水温に馴れる程度にプカプカ浮いて終了。水温は25℃でちょっとヌルイ。
  • 午前6時半
    • 日本選手権がBタイプと同距離でスタート。そして、7時のBタイプのスタートセレモニーに向け市長が話していると、何ともうAタイプのトップが凄い勢いで戻ってきた。皆、市長無視でトップスイマーに拍手を送る。

Swim 2km/1時間3分45秒(519位/534人Swim)

  • 午前7時 
    • ピストルの音で、沖合い700mの巨大なオレンジ色のテトラパック形状のブイに向かってスタート。
    • 100m程進んだだろうか、後ろ目でスタートしたつもりだったがふと気付くと赤いキャップのマグロの養殖場に餌を投げ込んだような水しぶきのど真ん中にいる自分に気付いた。しかし、自分の進む方向と集団の進む方向が30度ぐらいずれている。えっ?と思って方向を変えようと思ったが見えるのは赤い*9マグロの頭、頭、頭。何がなんだかわからなくなった。急に息が出来ない気がし始めた。ヤバイ!パニックだ。とにかく浮かんで周りを見渡すと、左手にライフセイバーの黄色いサーフボードが見えた。とにかくあそこに行くしかないと、スイマーをかき分け近づく。ヘロヘロで、サーフボードにたどり着く。ライフセイバーは「大丈夫です。ゆっくり休んでください」と安心させてくれる。しばらくボードにつかまり、浮いているとスイマーの群れはずいぶん先へ行ってしまい、数名が平泳ぎで泳いでいる状態だ。全然近づいていないブイに向かって再び泳ぎ始める。しかし、駄目だ。Swimの後半でやっと気付いたがまず、目線が何処かに行っていた。フォームも闇雲に手足を動かしていただけ。リズムもヘッタクレも無かった。
    • 「右!右!」ふと気付くとさっきのライフセイバーが併走してくれていて、大声で注意してくれた*10。「え?」と思って回りを見渡すと、目標のブイはスゴイ右手だ。また、プチパニックが戻ってくる。またもサーフボードにつかまり、呼吸を整える。もう駄目か?200mでリタイヤ?メチャメチャ弱気が出る。が、ライフセイバーに第1ブイまでいけばその後はコースロープがあるから、と励ましてもらい再再スタート。とにかくウエットスーツのお陰で沈む事だけは無いので、その後は10秒泳いでは方向を確認しまた、10秒。。。それでも徐々にテトラパックが巨大化してくる。ついに水中にブイを繋ぎ止めている白いロープが見えた。次についに岸と平行のコースロープだ。前日の説明会で「ブイにつかまって休むのは結構ですが…」競技委員の話を聞いて笑っていた自分はどこに?今は、これが命綱だ。
    • そんなこんなで、コースロープだけを見つめて泳ぎ続けた。はっきり言って、プールだと「動く障害物」にしか見えない素人平泳ぎより遅い。でも、これが自分の実力だ。右肩の不調のせいだと思うが気付くと11時方向にどんどんずれる。コースロープを視界に入れる。考えられるのは本当にそれだけ。やっと第2ブイに到着。またもブイにつかまり岸を見る。後は、戻るだけだ。やっと落ち着いてきた。そうだ、入水して前に伸びなきゃ!なんて事をやっと考えられるようになった。やっと、スピードも戻ってきた。数人抜けるまでに復活してきた。が、ダメダメな日と言うのはあるもので、ここでスイムキャップが脱げた。捨ててもいいが、やっぱ、記念に持って帰りたい。で、右手で持って泳いだ、手首からでも、首からでもウエットの中に押し込めばいいものを。。。それでもついに海底の岩が見え始める、次は砂の上の波の模様。そして、砂粒。立てるんじゃないか?と思った。足を下げてみた。もう腰までの深さだった。思ったのはただ1つ「良かった、リタイヤしなくて」。

結局、今回のチャレンジはこのSwimのパニックを経験した事で大きな意義があったと思う*11。海で溺れりゃ死んじゃう可能性がある。この点がSwimとBike/Runとの大きな違いだ。

  • ウエットを腰まで下ろし、コース上に設置してあるシャワーを浴び、ボランティアにスポンジを貰い、コーラを貰い、バイクラックに戻ると殆どの人は出発した後だった*12

Bike 105km/3時間53分59秒*13(221位:Bike、317位:S&B)

  • 普通に自分の実力の30km/hrにちょっと欠けるスピードで2時間半走った。普通に2時間半で腰に来た。あくまでも自分としては普通だった。しかしな〜自分のBike終了時にトップの選手は既に栄光のゴール!泣ける!!!
  • ここでも、約15km間隔であるエイドステーションでは大感謝。ステーションの前で、メガホンを持った人が「何がいいですか〜?*14」と訊いてくれる。こちらが「元気が欲しい〜!」と言うとメガホンで「元気が欲しいそうです〜」

Run 20km/1時間55分19秒(228位:Run)

  • Bikeの後ではRunのリズムが狂うのは解っていた。足にダメージがあるのは予想できていた。Bikeでは十分に補給を取るつもりだったが、DHポジションでは固形のパワーバー*15ではうまく胃が動かなかった、Runスタートではエネルギー切れになっていた。Runのエイドステーション*16では全ての箇所で完全停止しスポーツドリンク、オレンジ、レモン、おにぎり、黒糖飴、温かい麦茶等飲みまくり、食べまくった。回復に1時間かかった。

と言う事で、私のトライアスロン1stチャレンジは6時間53分03秒(276位/528人完走、244位/436人完走男子、38位/63人完走40〜44歳男子)で全てダメダメで終了した。でも、これで終わりじゃないぞ。

*1:競技の移行時に必要なものを入れて置くビニールバッグ。例えばスイム⇒バイクでは、バイクシューズ、ソックス、タオル等

*2:自分の自転車を引っ掛けておく、ハンドルの上にはヘルメット、グローブ、アイウェアを置いておく。足元にはみかん箱が置いてあって、トランジションバッグを入れて置く

*3:ちなみに私以外はAタイプ

*4:車で単独の自走。。。この意味でもまさに鉄人

*5:当日はレース開始から、終了まで生中継!自分のゴールは見られなかったのが残念

*6:ハンドルの前に突き出たクラウチングフォームが取りやすい棒。これをもつと本当に空気抵抗が減る。

*7:AタイプSwimは3.8km。2つのブイを反時計方向に3角に回る

*8:本当に島の人たちは全てのパートで一生懸命にサポートしてくれた。本当に感謝です

*9:Bタイプのスイムキャップは赤。他にリレーの青、佐渡の人は緑、日本選手権は白に分かれている

*10:当たり前で、彼の使命は私のような溺れ掛けの素人中年が致命的なことにならないようにする事なのだから、本当に感謝

*11:もちろん、練習不足はダメと言う事が再確認できた事も

*12:だって、自転車が殆ど無いからすぐ解る

*13:前後のトランジションタイム約20分を含む

*14:ちなみに、メニューは水/アクエリアス/コーラ/バナナ/おにぎり等など

*15:ゼリー系にしておけば良かったのだが、好みを優先させてしまった

*16:2〜3kmに一箇所ある。ここでも、ボランティアの方々に感謝